1.経理部での業務開始 中国研修から帰任すると、空港には、両親が出迎えに来てくれていた。 その夜、父親と酒を飲みながら、「経理部に配属になってしまった」と愚痴を言ったら、「出世コースだ。頑張れ」と励まされた。 出世コースかどうかは分からなかったが、ともあれ、やってみようとは考えていた。 希望と違う部署に配属されたからと言って、手を抜いて、「使えないやつだ」と思われるのは、まっぴらごめんだ。何年在籍するかどうかは分からないが、前向きに頑張ろうと考えた。
日本到着の翌日に、先ずは経理部と人事部に挨拶に行った。 日本に帰国する前に、身だしなみを整えようと、香港で髪を切ったのだが、そこで妙に斬新な髪形にされてしまっていた。当時の福州に比べてみると、香港はあこがれの大都会。その髪型が流行の最先端だと疑いもしない僕は、その髪型のまま挨拶に行って、随分、とっぽいやつが帰ってきたと思われた様だ……
水野 真澄