日系企業が所有する高い技術力は、中国において最も市場競争力を向上させ、その価値によって大きな経済的利益をもたらす要素の1つである。そのため、これが流出してしまうと、その損失は多大なものとなるケースも多い。 技術情報は営業秘密の一種であり、企業は保護の重要性を認識しているものの、どのような情報が営業秘密となるのか、その領域や、社内人員や取引先への情報公開方法、制限領域、情報流出の経路、漏えいの防止策、漏えい発覚後の対応方法等、明確に理解して制度を構築している会社は非常に少ない。 また、中国へ進出してから10年~20年となる日系企業も多く、必然的に、中国人スタッフの管理層、営業部、技術部のトップ人員も増えている。その人員流出(他社からの引き抜き、給与待遇の不満、不正関連トラブルによる解雇などの理由)は避けられない現状だが、やはり、時間をかけて育てた人材がライバル企業へ行くのは手痛く、更に、顧客……
王穏