はじめに
20世紀後半の90年代末、中国の電子商取引は著しい成長を見せはじめ、淘宝、京東、蘇寧易購、大衆点評などのECプラットフォームが次第に人々の購買習慣を変え、商品やサービス購入の重要な手段となっていった。それと同時に、電子商取引を利用した消費者の権益侵害、知的財産権の侵害、競争の制限・排除などの弊害も日ごとに目立つようになってきたともいえる。「権利侵害責任法」、「消費者権益保護法」、「サイバーセキュリティ法」、「インターネット取引管理弁法」などの法律法規による電子商取引活動の規制も一定の機能は果たしたものの、やはり電子商取引の総合的な規範となる法律には欠ける状態であった。
2018年8月31日、「中華人民共和国電子商取引法」(以下、「EC法」という)が第13期全国人民代表大会常務委員会第5回会議の審議を通過し、同法は2019年1月1日から施行されることとなった。起草から正式な公布まで5年と……
署名なし