私が日本のプロジェクター設計部門から中国に出向し、1年も経ってない頃のことでした。私の業務は日本の設計者と中国の部品メーカーとの橋渡しをするというものでした。日本の設計者から新規部品の図面や3Dデータを受け取り、中国の部品メーカーでその部品の金型を作製し量産につなげる仕事でした。私はまだ中国での経験が浅く、中国特有の仕事の仕方を良く理解しておらず、日本で設計者をしていたときと同じような仕事の仕方をしていました。
ある日、生産が開始され約3ヶ月が経過した新機種のプロジェクターにおいて、市場で内部にあるランプに異常が発生しました。市場クレームとしては、ランプボックスをランプ交換時に取り外したところ、その内部からカランコロンと音がするというものでした。さらにその音は、ランプボックスの内部に転がっている板金が原因であるとの報告を受けました。詳細に原因を調査した結果、その板金とはランプボック……
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