長年にわたり技術を重視してきた日系企業にとってコア技術がどれほど重要か、説明するまでもないだろう。実務上、社員管理が不適切であったために、商業機密の流失が生じたり、コア特許の無効宣告がなされたりすることは多く、ひいては高額な訴訟にからむ紛争に巻き込まれることさえある。本稿では、中国の労務・雇用と管理の視点から、企業とコア技術人材との提携過程において生じうるリスク、並びに管理面で採用可能な予防措置などについて、簡潔に紹介するものとしたい。
1.コア技術人材の募集と採用に関する潜在的リスク
①自社でのコア技術人材の職務履行により生じうる前雇用主の知的財産権の侵害
中国特許法の規定によれば、ある企業での業務遂行により完成した、又はある企業の物質的技術条件を主に利用して完成した発明創造は職務発明創造となり、これには労働関係の解除又は終了後1年以内に行った、元の企業で担当し……
署名なし