2019年10月1日、「中国本土と香港特別区の裁判所による仲裁手続きの保全共助に関する手配」(法釈[2019]14号。以下「『仲裁保全手配』」という)が中国本土と香港で同時に正式に発効し、実施された。10月8日、上海海事裁判所は「仲裁保全手配」に基づき、香港仲裁手続きにおける当事者が財産保全を申し立てることを認める最初の裁定を下した。
これまでは、香港地区では、「仲裁条例」等関連する法律規定[1]に基づき、中国本土を含む領域外仲裁手続きにおける保全又は暫定措置の申立に対し、裁判所の司法支援を提供していた。しかし中国本土では、領域外仲裁手続きに協力し、保全を提供することについて、法律上明確な規定がなかったため、領域外仲裁手続きにおける保全又は暫定措置が中国本土の裁判所に認められることはほぼなかった。つまり、中国本土裁判所と香港裁判所の仲裁手続き保全協力に係る手配は、単一方向の非対等な状態にあった。「……
郭蔚