司法の運用上、「同じ事案に対して判決が異なる」という現象が長期にわたって存在しており、当事者が自身の法的リスクを予測するうえで多くの面倒をもたらしていた。例えば、従業員が自己都合による退職を申し出てから30日以内に雇用主が違法な解雇を行った場合、賠償金を支払う必要があるのかについて、裁判所ごとに異なる見方がなされている。
1)(2015)滬二中民三(民)終字第1584号判4決では、裁判所の認識として、従業員が自己都合による退職を申し出てから30日以内は、雇用主との労働関係が依然存続していたが、雇用主が違法解雇を行ったことで、双方間に存続していた労働関係が終了させられることになったため、賠償金を支払う必要があるとしている。
2)(2016)滬02民終252号判決では、裁判所の認識として、従業員が自己都合による退職を申し出た後に、雇用主が労働契約を解除する決定を行ったことは、あくまでも雇用主が予告期……
邱奇峰