最近のニュースを見ていると、コンプライアンス至上主義を再考するという本稿の観点から、色々と考えさせられます。
例えば、米国のトランプ前大統領や、フィリピンのドゥテルテ大統領を巡るさまざまな話。最高権力者自ら、ときに堂々と法律を破るような言動を取ります。軍政が憲法や法律の執行を停止したり、国の指導者が超法規的処置を宣言したりするケースはあちこちに存在します。日本だって憲法改正が大きなテーマになっていますが、これは現実の政治が、コンプライアンスを最優先していない情況を長期間続けてきたからです。
このように、冷静に考えると、法律を定めたり執行したりする立場の人たちでさえ、コンプライアンスを最優先していない事態は多々存在します。私は法学部の末席を卒業した人間ですが、法律の成り立ちや時代背景、変化を知れば知るほど、法律とは社会を円滑に運営するために、生身の人間がつくった「相対的なル……
小島 庄司