中国に限ることではありませんが、工場経営を行っていると会社側にも従業員が不正行為を行う隙や誘発する原因があることに気づきます。簿外資産類似の資産の売却や相見積もりを取る際の購買における当て馬利用を通じての不正につき、設備部門や購買部門等における実務事例を紹介します。
1. 簿外資産類似の資産の売却
工場に存在する資産はすべて貸借対照表上の資産として計上されているのが原則です。しかし、工場経営をしていると貸借対照表上の資産としては分かりずらい簿外資産に近い資産が存在することに気づきます。こういった資産の中には、価値は低くはありませんが使用はできない資産があります。例えば、設備を購入した際の設備梱包の鉄の容器や棒材です。その気になれば、一購買担当や設備担当者が、個人的に懇意にしている業者に連絡をして、会社にはゴミを無料で処分してもらったように見せながら、実際には当該業者から多額……
奥北 秀嗣