1.はじめに
中国独占禁止法(以下、「独禁法」という)は、2008年8月1日の施行から約14年が経過し、長年の経済発展による情勢の変化や実務における運用経験の蓄積を踏まえ、2020年から改正作業が進められ、2022年6月24日、全国人民代表大会常務委員会の第2回審議を経て、改正案(以下、「新法」という)[1]が可決・成立し、8月1日に施行されることになった。本稿においては、新法の要点を解説し、コンプライアンス上の注意点を提示する。
2.新法における改正の注目点
(1)「ハブ・アンド・スポーク型協定」における責任の明確化
新法は、2021年10月に全国人民代表大会常務委員会の第1回審議に上程された「独占禁止法(改正草案)」(以下、「2021年改正草案」という)[2]と同様に、「ハブ・アンド・スポーク型協定」に関する規定を定め、19条において、「事業者は、他の事業者を組織して独占協定を締結すること、又は他の……
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