■ 脱現地化の動きが生まれている?
これまで10年以上、中国拠点マネジメントの強い流れとして「現地化」というキーワードがありました。しかし、コロナ禍の前後から、日系企業のあいだで現地化一辺倒からの揺り戻しが生まれているように感じます。過去には何でも現地化と言えば通っていたのが、雲行きが変わってきたようです。
こういう動きが出てくる背景は、社によって大きく異なります。
一つは、属人的な現地化をどんどん(なし崩しに)進めた挙句、振り子が戻ってきたパターン。一人の現地トップ(総経理の肩書きでなくても、実権を握る事実上のボス)にすべてを任せて10〜15年が過ぎ、私物化が行きすぎて本社が看過しきれなくなったケースです。
もちろん、本当はずっと前に「この現地化はまずい」と気づいていたはずです。それでも相手は現地トップですから、駐在員や現地幹部もなかなか手を出せずにいたり、あるいは……
小島 庄司