■ A社の話・・・順調なスタート
中国拠点を持つ日系企業が経営を現地化すると何が起きるのか。今回は事例を紹介します。
華北地方に進出しているA社の話です。ここは中国以外の国にも拠点があり、慣習的に「現地のマネジメントは現地の人に」という方針を持っていました。中国拠点もやっぱり中国の人にやってもらった方がいいだろう、ということで、トップを現地の人にするというマネジメントを20年ぐらいやってきたんですね。
当時、A社の中国拠点は二つ。一つは中国人がトップを務め、もう一つは日本に帰化した元中国人を本社から総経理として派遣していました。
問題になったのは後者の拠点です。この総経理は中国拠点のマネジメントのために採用した人で、日本国籍を取得するぐらいですから日本のことはよくわかっているし、もちろん出身地である中国のやり方も熟知しています。本人も熱意があり、派遣してすぐに新規顧……
小島 庄司