■ 一線を越えると逆に振れる、戦い下手な日本企業
前回、いちど「現地属人化」に舵を切ってしまうと、チェック機能は働かず、ある一線を超えないと引き返すこともできないという話をしました。
日本側は任せた以上、現地責任者を良くも悪くもたいへん我慢強く見守ります。が、看過できないレッドラインを超えたと認識した時点で、一気に逆に振れます。
これまで手をこまねいていたのが嘘のように、利益を犠牲にしても仕方がない、客先や周囲への影響も何とかする、すべてに優先して早期解決だ、となります。社長以下、経営層は怒り心頭で「何が何でも解雇だ!」となったりします。
急いで解雇しようとするとどうなるか。現地責任者は業務を全部握っているわけですから、当然、それを使って「交渉」してきます。環境、安全、消防、税務、労務……、完全にホワイトと言い切れる企業は少ないでしょう。さらには、本……
小島 庄司