前回、経営の現地化が失敗するのは、現地経営を属人化するという方針そのものが根源的に持っている特性だという話をしました。まかせた相手が中国人だったからでも、「中国人は疑ってかかれ」ということでもありません。日本人でも、日本育ちでも、帰化した人でも、日中以外の外国人でも、経営を属人化すれば同じようなことは起こります。
日本人が大掛かりな不正を主導したケースを紹介しましょう(具体的な部分は複数のケースを組み合わせて変えてあります)。
■ 日本人幹部の不正
10年ほど前のこと。A社は自社商品を中国で販売したいと考え、中国事業部を立ち上げました。
中国の代理店と提携して中国への輸出販売をスタート。最初は苦労したものの、少しずつ軌道に乗ってきました。中国側はビジネスを発展させたいと考えたのでしょう。A社に事業拡大の話を持ちかけます。
業界的にも成長の波が来て……
小島 庄司