■ 「取引相手は収賄主体に含めない」という立場を再確認した
2017年に改正された不正競争防止法で取引相手が収賄主体から除外されてからは、司法実務上その合理性について多くの議論が生じている。筆者が注目したのは、2022年の「不正競争防止法改正意見募集案」で「取引相手」が収賄主体に含められたが、最終的に公表された正式版ではこの内容が削除されている点である。これは、商業賄賂の性質を判断する基準を再確認するものであり、「賄賂の過度な認定」が正常な取引秩序を乱すのではないかという一般企業の懸念に応えるだけでなく、法執行機関による「過剰な取締り」といった現象の発生を防ぐうえでも役立つと言える。
■ 「収賄者にも罰則を科す」メカニズムを改めて明確にした
商業賄賂は対向行為であるが、司法実務では長い間、贈賄者に対する処罰だけが注目され、取引において強い立場にある組織又は個人に……
丁志龍