はじめに
労働紛争において、「労働者が業務に不適任である」ことを理由とする労働契約解除に係る紛争は非常に高い割合を占めており、かつ使用者側の敗訴率も高いという実情があります。その核心的な原因は、多くの使用者が『中華人民共和国労働契約法』第40条第2項の「第40条 次の各号に掲げるいずれかに該当する場合、使用者は30日前までに書面で労働者本人に通知し、又は1か月分の賃金を追加で支払った上で、労働契約を解除することができる。(2)労働者が業務に不適任であり、研修又は配置転換を経てもなお業務に不適任である場合」という規定を「低効率な従業員を排除するための便利な手段」と誤認している点にあります。しかし、使用者はこの条文が課している厳格な手順上の要件(すなわち「不適任 → 研修/配置転換 → なおも不適任 → 解雇」)及び使用者側の立証責任を見落としがちです。本稿は、法律の規定及び典型的な判……
黄恵琳