中国では、労働組合は党と労働者を結ぶ架け橋や紐帯として存在するものである。このような特殊な政治的地位を持つため、中国の労働組合は世界の大部分の国家の労働組合と異なっている。労働組合の性質は、その会員と機能の広域性と、組織と指導の単一性を確定する要素となっている。こうした広域性と単一性は、中国の労働組合に他国の労働組合とは異なる特性を付与えている。
(1)労働組合の会員と機能の広域性
「工会法」及び「中国工会章程」ではいずれも、労働組合は「労働者階級の大衆組織」であると規定し、労働組合の階級性と大衆性を強調している。「工会法」第3条では「中国域内の企業、事業単位、機関において賃金所得を主な生活源とする体力及び頭脳労働者は、民族・種族・性別・職業・宗教・信仰・教育レベルを問わず、法により等しく労働組合に参加又はこれを結成する権利を有する」と規定されている。ここでは「賃金所得を主……
立花 聡