法定祝日の勤務(休出)は一体、「2倍賃金」なのか、「3倍賃金」なのか、あるいは「4倍賃金」なのか、混乱する場面が多い。また、弁護士や専門家でも的確なアドバイスができていないケースも散見される。労働行政当局の立場からすれば、企業が多く支払う分には労働者が騒ぎを起こさず、都合がよいこともあるのか、概して多め支払を主張しているようだ。しかし、人件費の継続上昇に直面する企業にとっては、休出賃金の倍数計算基準は、人件費コストにかかわる重大な問題であり、決して軽視されてはならない。
この問題を解釈し、論理的に説明するには、労働法令の立法における一連の経緯に対して十分な理解を有さなければならない。 (1)従来の解釈 2008年1月3日労社部発[2008]3号「従業員通年月平均勤務時間と賃金換算の問題に関する通知」(以下、「08年3号通知」という)が公布されるまでは、「法定祝日の勤務は、別途3倍賃金を……
立花 聡